がんは日本人の死亡原因のトップであることはよく知られているところであり、年間では30万人以上がこの病気によって命を落としていることが統計データからは示されています。人間ドックも自覚症状がない段階でこうした深刻な病気にかかっていないかどうかを判断するための手がかりになることから、積極的に検査メニューのなかにがんに関連したものを採り入れている病院も多くみられます。人間ドックの検査メニューのなかで、具体的にがんであるかどうかがわかるものとして、例えば肺がんであれば、肺のレントゲン検査、胸部CT検査などといったものがあります。いずれも体内を透過する放射線による撮影で、画像または映像として肺のようすを確認するものです。
胃がんについては、同様の胃部レントゲン検査や、胃の内視鏡検査があります。内視鏡検査は細いファイバースコープを直接胃のなかに入れて内部の映像を見るもので、腫瘍などがあれば操作している医師の目にとまります。大腸がんであれは、大腸内視鏡検査、便潜血検査があります。便潜血検査は、いわゆる検便のことであり、大腸でがんの病変による出血があった場合については、この検査で陽性の反応が出ます。
このように、がんとひとくちに言っても、がんが身体のどの部位で生じたかによって、検査方法を変えなければならないという必然性があるため、幅広い検査メニューをもつ人間ドックは、高齢社会のなかで生涯元気に過ごすためにはなくてはならないものといえます。